
個人や企業に一定期間、収納スペースを賃貸する「トランクルーム経営」は空いている土地活用として注目されています。トランクルームには屋外型と屋内型があり、運営方式もさまざまです。賃貸アパートやマンション経営と比べると初期費用やランニングコストを抑えられるため、興味を持っている人は多いでしょう。しかしトランクルーム経営にもデメリットがあり、利益が出ないこともあります。ここではトランクルーム経営におけるデメリットとその対策方法をまとめます。ぜひ参考にしてください。
トランクルーム経営とは?
トランクルーム経営とは、使っていない空き地にコンテナハウスを建築して収納スペースとして賃貸する事業のことです。賃貸アパートやマンション経営と比較すると、初期費用が安く管理の手間がかからないという利点があります。リスクを抑えて空いている土地を有効活用できる事業です。
トランクルームの種類
トランクルームには屋外型の「コンテナ型」と、屋内型の「ルーム」型の2種類があります。空き地にコンテナを設置する屋外型(コンテナ型)は郊外に多く、建物内の部屋に倉庫を割り当てる屋内型(ルーム型)は都市部に多いです。コンテナ型では空いた土地にコンテナを設置するだけでよいので、新築物件を建てるよりも初期投資を抑えられます。一方、ルーム型は建物内で保管するため、温度や湿度管理がしやすく、多種多様な収納ニーズに応えられます。
種類に応じて費用相場や利用者のニーズが異なります。それぞれに合った戦略が必要です。
トランクルーム経営のメリット
トランクルーム経営は初期投資費用がアパートやマンション経営と比べて安く、土地の転用が容易です。また修繕費があまりかからないため、ランニングコストも抑えられます。アパートやマンション経営の場合は住民からのクレームや要望も多くトラブルが起きやすいですが、トランクルームでは利用者とのトラブルは比較的少なめです。
トランクルームでは不整形地であっても経営が可能であり、日当たりや騒音条件が悪くても全く問題はありません。立地条件に関わりなく、多くの土地で活用できるのも魅力です。
トランルーム経営は儲からない?デメリットとは?
トランクルーム経営は、アパートやマンション経営に比べると初期費用やランニングコストを抑えて運用ができるため人気を集めていますが、実際のところ儲かるのでしょうか?ここではトランクルーム経営が失敗してしまう事例や実際にあるデメリットについてまとめてみましょう。
賃料設定のミス
賃料設定を見誤ってしまうと、稼働率は著しく低下してしまいます。トランクルームの賃料設定は慎重に行う必要があります。とくにエリアの料金相場に合わせると失敗する可能性が高いです。たとえば周囲には月額2万円のトランクルームが多い場合、2万円に設定してしまうでしょう。しかし周辺のトランクルームに空きが多い場合には、その料金設定では誰も借りてくれません。
賃料設定をミスすると借り手が見つかりません。トランクルーム経営を行う際には、事前にエリアの料金相場や空室状況を調査しましょう。周辺の調査を行うことで、利用者のニーズを可視化できます。
そのニーズに合わせて、月額料金をもっと安くする、設備を追加投資して設備機能のグレードアップを図るなど、さまざまな戦略を立てていきましょう。
税制優遇の恩恵が受けられない
トランクルーム経営ではアパートやマンション経営と比べて税制優遇などの恩恵はほとんどありません。固定資産税についても小規模宅地などの特例の適用が受けられません。減価償却についても長期償却となる可能性が高いため、節税効果は小さいです。固定資産税の負担が重いことによって、資金繰りに困ってしまいトランクルーム経営が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。住宅用地として使われていた土地をトランクルーム用地として用途変更した場合、固定資産税は住宅用地の時と比べて6倍に跳ね上がります。
固定資産税の負担によって資金繰りが苦しくならないようにするために、固定資産税の負担を考慮しても利益があるかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。節税対策としてトランクルーム経営をお考えであれば、おすすめできません。
集客までに時間がかかる
トランクルーム経営では満室になるまでに一定の時間を要するのが一般的です。つまり満室になるまで時間がかかってしまいます。賃貸住宅であれば需要が大きいですが、トランクルームの場合は申込みが殺到するということはまずありません。長期的な利用者が増えれば経営は安定しますが、開業から満室になるまでは数年など一定期間が必要になると覚悟しておく必要があります。
トランクルームの集客に時間がかかる理由としては、利用者のニーズが一時期に集中することがなく、利用ニーズにばらつきが生じていることや、認知獲得の難しさ、もともとの需要が小さいなどが挙げられます。
さらに、トランクルームでは満室にするために広告宣伝が必要です。トランクルーム経営においては積極的な広告宣伝活動が欠かせません。選択する広告の手法や規模によって広告宣伝にかかる費用は異なるものの、集客に十分な広告宣伝予算を確保しておきましょう。
トランクルーム経営で儲けるためのコツを徹底解説!
トランクルーム経営で儲かるためにはどのような対策が必要でしょうか?ここではトランクルーム経営を成功するためのコツをまとめてみましょう。利用者の需要を見極める
トランクリーム経営においては利用者の需要を見極めることが大切です。トランクルームの設備仕様によっては利用用途が限定されてしまいます。とくに屋外型(コンテナ型)では、空調の設備をつけにくいです。温度・湿度の調整が難しく、冬や夏など季節によって保管に適していない物品があるため、契約に至らないケースがあります。
利用者が預けるものはどのようなものが多いのか?どれくらいの価格帯のトランクルームを探しているのかなど、利用者の需要をきちんと見極めることで契約につながるでしょう。
またターゲット層と広告媒体の両面から、戦略的な広告宣伝を展開することも大切です。単身世帯向け、ファミリー世帯向けなどターゲット層によって最適な広告手段は異なります。
ポスティング・チラシ配り、WEB広告、SNS広告などターゲット層に合った広告戦略を広げていきましょう。
盗難・破損・災害のリスク対策を徹底
トランクルームのオーナーは、利用者の物品の保管・保全に対して責任を持ちます。盗難・破損・災害などのリスク対策を行っていないと、何か起こった時に裁判沙汰になるケースが少なくありません。また、セキュリティが万全でないトランクルームだと判明した場合、周辺住民からは敬遠されやすくなってしまいます。盗難・破損・災害に対する対策にはある程度の費用がかかりますが、軽視せずにしっかりと行いましょう。
たとえば盗難のリスクに関しては、セキュリティ設備を備えるのはもちろん、「利用者の責任で管理してください」などの注意書きを提示しておくのもおすすめです。破損のリスクに関しては、高温・多湿による物品の劣化に関しては事前に利用者に説明しておきましょう。
トランクルーム経営の専門業者に相談する
トランクルーム経営は誰でも簡単に稼げると思って、知識もなく始める方が増えています。しかしトランクルーム経営ではエリアごとのニーズや、土地にあった設備・使用を見誤らないようにしなければなりません。たとえば、建築確認が通らずトランクルーム経営ができないケースもあります。トランクルームはコンテナタイプであっても基礎工事が必要であり、建築確認が必要です。
初期費用を捻出したのに、建築確認が通らずに違法建築となってしまうと、トランクルーム経営が行えません。
自己判断で進めると失敗する恐れがあるため、トランクルームの設置条件や基準について詳しい専門業者に相談するのがおすすめです。
まとめ
トランクルーム経営は初期費用があまりかからず、管理の手間もかからないため、始めやすいです。しかしトランクルーム経営をはじめても思うように集客できない、経営が軌道に乗らないなどの思わぬ落とし穴もあります。誰でも簡単に儲かるというわけではありません。事前にリサーチや調査が必要ですし、広告活動なども必須です。所有している土地がトランクルーム経営に向いているのかどうか自分では判断がつかないこともあるため、自己判断せずに土地活用のプロに相談してみるのがおすすめです。-
引用元:https://www.inaba-box.jp/landuse/