
近年、ローコストかつ自由なデザインが可能な住まいとしてコンテナハウスが注目されています。しかし、コンテナハウスを住まいに利用できても、建築基準法上の扱いや、法的な手続きにおいては注意が必要です。そこで、今回はコンテナハウスの法的な位置づけや建築確認の必要性、さらにガレージの活用について詳しく解説していきます。
建築基準法におけるコンテナハウスの位置づけとは
コンテナハウスは、通常、輸送用コンテナをそのまま住居や事務所として転用するケースが多いですが、建築基準法においては、これらは単なる「移動可能な構造物」ではなく、建物としての規定が適用されることがあります。具体的には、コンテナハウスが一定期間以上、固定されて使用される場合、建築基準法の規定にもとづいて「建築物」として扱われます。このため、使用目的や設置場所に応じて、建物として必要な耐震性、断熱性、通風、採光などの性能が求められます。
元々、輸送用のコンテナはこれらの条件を満たすようには設計されていないため、コンテナハウスとして使用するには、改修や補強工事が必要となることがあります。
要するに、コンテナハウスが合法的に建物として扱われるためには、これらの基本的な建築基準を満たすことが求められます。
建築確認申請とは何か
コンテナハウスを設置する際、もっとも重要な手続きのひとつが建築確認申請です。建築確認とは、建物の設計が建築基準法をはじめとした各種法令に適合しているかどうかを、事前に自治体や民間の指定確認検査機関に審査してもらう手続きです。この建築確認を受けずに設置されたコンテナハウスは、たとえ一見立派な構造をもっていても、法的には「違法建築」とみなされるおそれがあります。また「一時的に置くだけ」「簡易的な構造だから問題ない」と考えて確認申請を怠ってしまうと、後々大きなトラブルにつながる可能性があるのです。
申請に必要な書類と手続き
申請時には、建築確認申請書を正本・副本の2部提出する必要があり、確認後に副本が返却されます。正本は、建築完了まで建築会社が保管します。また、建築確認申請書に加え、建築工事届や建築概要書、場合によっては浄化槽設置届も提出しなければなりません。必要な図面
必要な図面は、付近見取り図、配置図、求積図、仕上表、平面図、立面図、換気計算書などがあり、土地の条件によっては追加資料が求められることもあります。通常、申請書類は建築士が施主に代わって作成・提出をします。費用と期間
費用は依頼する建築士によりますが、50万円以上かかり、さらに数万円の手数料も発生するケースが一般的です。申請から許可が下りるまでの期間は、順調なら1週間程度ですが、不備があれば1か月以上かかることもあります。コンテナの製作基準
建築基準法に適合したコンテナハウスを建てるには、JIS鋼材で製作されたコンテナを使用し、JIS認定工場で溶接されたものでなければなりません。海外製やISO規格の中古海洋輸送用コンテナでは、申請を通すためには大幅な改修が必要であり、手間やコストを考えると現実的ではないでしょう。都市計画区域外の特例
日本国内でも「都市計画区域外」であれば、一定の条件下で建築確認申請が不要となる場合もあります。しかし、申請不要な場合でも建築基準法の遵守は必須であり、基準に満たない建物は違法建築とみなされ、撤去を命じられるリスクがあります。安全で安心な建築物を実現するためにも、適切な手続きを踏むことが重要です。
安全性を考慮するならガレージがおすすめ
コンテナハウスは、手軽に設置できる住居や店舗スペースとして人気を集めていますが、その一方で違法建築とみなされるケースも少なくありません。とくに、中古の海洋輸送用コンテナを利用した場合、建築基準法に適合していないことが多く、万一問題が発覚すると撤去命令が下されるリスクもあります。また、強度や耐久性の面でも懸念が残る場合があり、安全性を重視するなら慎重に選択する必要があります。
ガレージ設置のメリット
リスクを避けたい場合におすすめなのが、ガレージの設置です。とくに鉄骨造や軽量鉄骨造のガレージは、もともと耐久性と耐震性に優れており、しっかりと建築基準法に則った設計・施工が行われます。倉庫や事務所、趣味の空間として使える高品質なガレージを選べば、違法建築のリスクを回避できるだけでなく、安心して長く使用できるでしょう。
多機能型ガレージ
近年はガレージといっても、車を停めるだけのスペースにとどまらず、居住空間の延長や趣味の作業場、さらには事務所利用もできる多機能型のプランが増えています。天井高を確保し、2階建てにして活用する設計も可能なため、スペースを有効に使いたい方にも最適です。柔軟なカスタマイズ
鉄骨造ガレージであれば、後から間取りの変更や設備追加といったカスタマイズもしやすく、ライフスタイルに合わせた柔軟な対応が可能になります。将来の資産価値
きちんと建築確認申請を通して設置するガレージであれば、固定資産としての評価もしっかり受けられ、将来の資産価値にもつながります。コンテナハウスよりも初期投資はやや高くなるかもしれませんが、安全性、快適性、資産性のすべてを考えたときに、長い目で見ればガレージのほうが、コストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。
まとめ
コンテナハウスは自由度が高い住宅スタイルとして魅力的ですが、建築基準法にもとづく建築物としての扱いや建築確認申請の必要性など、法的な観点で注意すべき点が多くあります。とくに、確認申請を怠ると違法建築とみなされ、罰則を受ける可能性や将来の資産価値に悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、安全性や法的な安心を重視するのであれば、ガレージの活用が理想的です。ガレージは設置や改修の自由度が高く、法的な制限にも対応しやすいため、初心者でも比較的安心して導入できます。自由な発想を活かしながら、建築に関するルールを守ることが、後悔のない住まいづくりのための第一歩といえるでしょう。-
引用元:https://www.inaba-box.jp/landuse/